(地域・風物紹介) 天津神社のけんか祭り 04-07-01
 糸魚川市の住民みんなに春の訪れを告げ、生活に活を入れてくれるのは、この天津神社の春の例大祭です。神社は市内の中心部にあり、祭りは4月10日に行われますが、近郷の人達もこの日を待ち望んでいますし、これが終わらないと何事も始まらないと言った風潮があります。まさに地域全体のお祭となっています。
 祭りの呼び物は何と言っても、2台の神輿(ミコシ)が神社境内に集まった万余の大民衆の前で、がっぷり四つに組んで押し合いへし合いの「ケンカ」をする所です。この時期の若い衆の熱気と興奮がたまらないと言って、最近は他見の人達でも相当に見物のファンが増えています。
 この神社の氏子衆は、旧市内の東部2つの地区(押上地区と寺町地区)に住んでいますが、両チームに分かれその年の豊漁と豊作を祈願する気持ちをこのミコシのケンカに託し、神に奉納したのが始まりと言われています。だから昔は、豊漁を祈った方が勝てばその年は豊漁、豊作を祈った方が勝てばその年は豊作と言われ、互いに競い合いましたが、最近は担い手の若衆の不足もあって、勝ち負けにはあまり拘らない平和的なルールに変ってきました。10回ほど行われる「ミコシのケンカ」の最初と最後に、「用意ドン」で2台のミコシが競争して全速力で境内を走り回るのもまた見ものです。若衆の気力と迫力が伝わって来ます。
 正午過ぎ、「神輿のお走り」の興奮が収まると共に、悠々と打ち鳴らされる太鼓の調べが暫し神社の森を包みます。500年の伝統を今に伝える、華麗にして荘重な12番の奉納舞楽が本殿前の舞台上で順次演じられます。これら舞楽の演じ手は総て氏子や市内の関係者の子弟で、半年間にわたる猛特訓の結果でもあります。中でも有名なのは最後を締めくくる「陵王の舞」で、衣装の絢爛豪華さと共に、緩急激しく変っていく所作の中に、現代人に通ずる「変化への挑戦」の心が感じられ昔から有名です。これら12番の奉納舞楽は国の重要無形民族文化財に指定されていて、10日と11日の2回演じられます。